集団の力、個人の力 【短編小説】
小説最高ランク : 5 , 更新:
「今日の朝、上履きに紙が入っていた。学校に来るな、みたいな内容の」
一時間目の最初、先生はそう告げた。漫画やアニメ、小説などの創作物なら、教室がざわめくところだ。
しかし、自分達の教室は、無情にも静まり返っていた。
窓の外の、風の音だけが聞こえた。
頭の中で、誰の上履きなのか考える。何人かが思い浮かぶ。もはやそうなっている時点で、この学年はおかしいが。
アンケートが配られる。
『1.この事に関係のある人を知っていたら、書いてください
2.この事について見たり聞いたりしたことがあれば、書いてください
3.この事について、どう思いますか。また、より良い学年になるためにはどうすれば良いですか』
先生は言う。
「この時期にこんなことがあるのも、おかしいけどね」
その通りだ。今は三学期。もう次の学年になるというのに、この学年ではいじめが起こった。
半年以上も一緒のクラスにいた分際で、なにが『学校に来るな』だ。
そして、なぜ証拠が残るようなことをする? 前も、こんなことはあった。詳しくは説明されなかったが、影口やら酷いあだ名を言う人がいたらしい。
何で今更なんだ。
疑問をすべて、三番に書いた。
自分は、同じクラスに親友がいない。なんなら、クラスが離れた親友との仲も、最近よろしくない。
それに、友達もいない。
だから、いじめられてもほとんど被害なんてない。自分から人に話しかけるのが苦手で、無視されることもない。
ノーリスクで、いじめられっ子を助けることができる人物である。
だから、自分はいじめがあればすぐ助けようと思っている。ただ、一つ欠点がある。
まわりに興味がない。
今回のいじめの件も、初めて知った。それに、弱虫は、本当にいじめられっ子を助けることができるのだろうか?
わからない。
誰だってそうだ。
未来のことなんて、そのときにならないとわからない。
自分は、本当に人を助ける力があるのだろうか。
これ以上、先生の口からこのいじめの情報が語られることはなかった。
解決したかどうかもわからない。
「はい、みんな席について」
今日の先生は、いつも以上に暗かった。
凄く、凄く嫌な予感がする。気のせいだろうか?
「今日、連絡がありまして······。昨日の夜、Aくんが」
結局、自分は無力だった。
なにもできなかった。どうすることもできなかった。そもそも、主犯どころか何をしているのかも知ることができなかった。
黄色いユリの花を握りしめる。
「ごめんね、助けられなかった」
あの朝、先生は言った。
誰も予想していない、一番最悪な結末だった。
「昨日の夜、Aくんが······。自殺で、亡くなりました」
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