人魔の橋4
最高ランク : 12 , 更新: 2023/03/11 5:24:31
おはこんばんにちは。あかにゃきです。
早速、予定の曜日に投稿していない件。すみません。
今日か明日、どちらになるかは分かりませんが、2回投稿します。
ということで(?)早速、小説を投下します。
例によって、なんでも大丈夫な方のみどうぞ。
◇
何はともあれ、妖怪が絡んでいると考える理由は分かった。
義礼は再び頭を下げた。
「頼む、弟を助けてくれないか」
掛橋は即答はしなかった。レンズ越しに目の前の相手を観察する。
頼みを引き受けるには十分すぎるほどの価値がある相手だ。
一方で、疑念もある。
義礼は掛橋を嫌悪している。掛橋を学校から退学させ、果てはこの世から抹殺するところまで考えていてもおかしくはない。そんな相手へ借りを作るにはかなりのリスクを伴う。
義礼は考えなしのバカではない。それは理解しているだろう。必然的に、掛橋への依頼は最終手段となる。
対し、彼の弟の捜索が始まったのは今朝だと話していた。最終手段を使うには早すぎないだろうか。
もっとも、義礼が何も考えていない可能性もないわけではない。極めて低い可能性ではあるが。
掛橋は考える。
(ま、用心するに越したことはないよねぇ)
目の前の青年は頭を上げた。
「虫のいい話だとは分かっている。当然、礼もする」
そう言うと、彼はポケットから薄い箱のようなものを取り出した。テーブルに置き、開ける。
「そ、それは……!」
掛橋は目の色を変え、勢いよく立ち上がった。ガンっと、足がテーブルにぶつかる音がした。
「KOCKUHACKU(こっくはっく)のライブチケットだ」
KOCKUHACKU。二人組のバンドグループである。掛橋は彼らのファンなのだ。
「よく手に入ったね。俺、このライブ、チケット取れなかったんだよ……!」
掛橋は震えながら言った。興奮のためか、息も荒くなっている。
「というか、俺がこのバンドが好きだってよく分かったね」
「お前がよく着ている服に、このバンドのマークと同じ模様が入っているだろう」
義礼は掛橋の胸元を指さした。指摘の通り、そこにはKOCKUHACKUのロゴマークが描かれていた。
「ああ、なるほどね」
「これで礼として足りるか?」
掛橋はハッとした。目の前に現れた宝に、思わず理性を失いかけてしまった。
ゆっくりと腰をソファへと戻す。心なしか頬が赤い。
掛橋は咳ばらいをすると、言った。
「仕事は引き受けてもいいよ。ただし、条件がある」
「条件?」
「うん」
掛橋は頷く。
目は義礼と合わない。
「捜索は明日の夜にさせてくれないかい? 吸血鬼の力も発揮できるからね」
掛橋は窓の外を見た。その内心は冷や汗だらけである。
(……まさか物欲に負けて依頼を受けたなんて、言えないよねぇ)
明日は満月だ。
【続く】
……過去の内容にもう少し伏線や描写を足そうと思います。
欲に負けた掛橋くん、人間味ありすぎて可愛かったです。
続き、楽しみにしております!
翔べないペンギン
2023/03/12 0:14:08 違反報告 リンク
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