二番手だってわかってたの[オリジナル小説]
線画 小説(もどき)最高ランク : 119 , 更新:
⚠注意⚠
この小説には性。的表現などが含まれます。
ワンクッション
ただ、寒かった。
キュッと白い雪を踏み締めて歩いた。
辺りは暗い。街灯の灯りが積もった白さを際立てていた。
朝は、こんなに寒くなかったじゃない。
少しイライラしながら、首もとをふわふわと包みこんでいるマフラーを鼻まであげる。
これで多少は暖かいだろう。
「寒いよ」
ぽつり。
「寒い」
また、ぽつり。
「好きっていったじゃん」
「知ってた、嘘だって知ってた」
頬が熱い。喉の奥が痛い。視界が歪む。
ポロポロ。ちりちり。ゆらりゆらり。
悲しい三重奏。
体も頭も、私のどこかにある心も全部が痛くてぐちゃぐちゃ。
私は彼にとってなんだったか、なんて。
考えなくたって分かる。
精の捌け口でしか無かった。
ラ ブホテルのベッドで交わるだけの。
彼にとっては、ただ、一瞬の気持ちよさのための行為だったろう。
でも、その一瞬を得るまでの時間が。
とても、愛しいものだった。
ぼんやりと、最後の交わりが頭に浮かび上がって。
やけに、彼の吐き出す言葉は甘く。
甘ったるくて、息も出来なかった。
「あ、あ、あ、」
嗚咽。
わかっていた。
あの甘い甘い快 感も何もかも全て私に向けられたものじゃない。
でも、私は。
嘘でも、彼の。彼からでる[熱さ]と[甘さ]が欲しくてたまらなくて。
彼が、好きだった。
側にいたかった。私を見て欲しかった。
「好きだよ」
少しかすれた声も。
「ねえ」
クセのある黒髪も。
「嘘つき」
少し潤んだあの瞳も。
少し厚い唇も。
低く呻いた声も。
0.0何㎜越しに感じた君の白い熱も。
全部。
全部全部。
ほしかった。
「嘘でも、好きっていったじゃない」
視界は白く揺れたまま。
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